よくある術前合併症

睡眠時無呼吸症候群

いびきが大きいと言われませんか?

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中にのどの気道が閉じて呼吸ができなくなることが繰り返しおこる病気です。 めずらしい病気ではなく、お子さんを含め誰にも存在する可能性があります。大きないびきは病気を疑う大事な症状ですが、 きちんとした診断には睡眠中の検査を行い、特に無呼吸を繰り返す頻度が多い場合には治療が必要です。 手術の際には、全身麻酔導入時の気道合併症 や手術後の低酸素血症などが発生するリスクが高くなります。 麻酔科医はそのリスクを軽減させる対応を行います。

手術前の問診や睡眠検査で睡眠時無呼吸のリスクを評価します

麻酔に関する問診には、睡眠時無呼吸の可能性をチェックする項目が含まれます。 特に『毎日大きないびきをかく』『寝ている時に呼吸が止まっていたと言われたことがある』 『朝起きてもすっきりしない、昼間眠い』『高血圧がある(治療中も含む)』、この4つの関連症状のうち2つ以上あてはまる場合には、 睡眠時無呼吸の存在が疑われます。イラストにあるように横顔も参考になります。

すでに睡眠時無呼吸の治療を行っている患者さん

担当麻酔科医に、その事実をお伝えください。可能であれば、睡眠検査結果レポートのコピーをご提示ください。 手術のために入院中も現在の治療を継続しますので、治療器具を入院時にご持参ください

手術前に治療を開始していただく場合があります。患者さんの積極性も重要です。

重度な睡眠時無呼吸の存在が明らかとなり、時間的な余裕がある場合は、手術前にシーパップ療法(睡眠中のマスク装着による治療)を開始する場合があります。 未治療の場合と比較して、手術後の合併症発生を予防する効果があります。時間的余裕のない場合には、手術後に経鼻エアウェイ挿入 (鼻から気道の通りをサポートする器具)、夜間酸素療法や体位療法などを実施します。
また手術前の運動リハビリは積極的に実施していただけるようにお願いします。がん手術などでは、通常手術が延期になることはありませんが、 特に肥満の強い患者さんでは、手術前に少しでも体重を減らすことは手術中・手術後の合併症予防に重要です。

手術後に治療を受けるメリットがあります

睡眠時無呼吸は日常の眠気や倦怠感そして精神面への影響だけでなく、心臓・血管の病気や生活習慣病を増やすことが知られています。 手術を契機に睡眠時無呼吸症の疑い、または診断となった場合には、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療を行う医療施設での再検査、治療開始をおすすめします。 治療による症状の改善が報告されています。