よくある術前合併症

心臓ペースメーカーと全身麻酔

心臓ペースメーカー

不整脈の中で、脈がゆっくりとなる徐脈と呼ばれる状態があります。徐脈によって意識がもうろうとしたり、めまいがしたり、 疲れやすくなったりなどの症状が出現して生活に支障をきたすようになることがあります。疾患によっては失神したり、突然死をおこしたりするものもあります。 医師の判断により必要となれば、脈を一定以上保つためにペースメーカー植込み術が行われます。

全身麻酔を受けられる前に

ペースメーカー植込み後は、患者さんの症状の把握やペースメーカーに異常がないか調べるために定期検査(作動状況、電池の消耗、リード線の位置確認など)が行われます。 手術を受けられる際には事前に改めて検査を行いますが、その際には日常の生活で気になる症状などがあれば医師に相談してください。 もともとペースメーカー治療を受けられている方はさまざまな心臓疾患を抱えている場合が多く、手術前にペースメーカー装置の調整だけでなく、 心臓疾患そのものの検査や追加治療が必要になる場合があります。

全身麻酔中とその後

安全を守り、ペースメーカーの故障を防ぐために、麻酔科医は手術に合わせた術前検査と準備を行います。 手術では多くの場合、電気を用いて止血しながら組織を切る「電気メス」が使われますが、 それがペースメーカーに影響を与える電波干渉という現象がおこることがあります。 それを防ぐために、プログラマと呼ばれる機器を用いて臨床工学技士とともにペースメーカーの状況を確認し、手術に備えた設定変更を行う場合があります。
手術後も患者さんの状態を心電図や血圧計などでモニタリングしながら、状況に合わせた設定変更を行います。