周術期特定行為研修制度

特定行為研修の目的と方法

特定行為研修は共通科目と区分別科目から成り立ち、その到達目標がそれぞれ定められております。 研修方法、スケジュールとともに申請可否を十分に確認の上、募集要項より申請手続きをお願いします。
また、日本麻酔科学会特定行為パッケージ研修は日本麻酔科学会認定病院、 かつ協力施設(※)に勤務をしている看護師を対象に提供しており、研修の成果をその研修施設の周術期管理に生かすことが目的です。
※協力施設の申請についてはこちらよりご確認ください。

共通科目・区分別科目について

特定行為研修は、専門医の指示の下、看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、 思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上をはかるための研修です。 特定行為研修は大きく2つの科目で構成され、講義、演習又は実習により行われます。
また、共通科目(252時間)、区分別科目(70時間)の全過程は、講義・演習・実習・評価で構成されたカリキュラムです。

■共通科目:全ての特定行為区分に共通するものの向上を図るための研修
■区分別科目:特定行為区分ごとに異なる行為別の専門知識の向上を図るための研修

研修の到達目標

■共通科目
  • 多様な臨床場面において重要な病態の変化や疾患を包括的にいち早くアセスメントする基本的な能力を身につける
  • 多様な臨床場面において必要な治療を理解し、ケアを導くための基本的な能力を身につける
  • 多様な臨床場面において患者の安全に配慮しつつ、必要な特定行為を安全に実践する能力を身につける
  • 問題解決に向けて多職種と効果的に協働する能力を身につける
  • 自らの看護実践を見直しつつ標準化する能力を身につける

■区分別科目
  • 多様な臨床場面で当該特定行為を行うための知識、技術および態度の基礎を身につける
  • 多様な臨床場面において、医師または歯科医師から手順書による指示を受け実施の可否の判断、 実施および報告の一連の流れを適切に行うための基礎的な実践能力を身につける

研修方法

研修期間では、まず共通科目を履修し、続いて区分別科目を学びます。
本学会からは、学研メディカルサポートのe-Learningを提供しております。 講義・演習・模擬実習・各試験・臨床実習等は、受講生の所属する施設等(自施設)で臨みます。
研修を進めるにあたっての各種資料や課題は全てe-Learningコンテンツ内にあります。

■講義
学研メディカルサポートのe-Learningで自宅や職場等で履修していきます。
e-LearningのためのIDは受講料納入後、指導者と受講生へ配布します。

■演習
講義で学んだ内容を基礎として、少人数に分かれて指導者のもとで、症例検討やペーパーシミュレーション等、議論や発表を行います。

■実習
講義や演習で学んだ内容を基礎として、指導者のもとで、主に実技を中心に実習室や、医療現場で行います。 単に医療現場にいるだけでは、実習として認められません。
なお、区分別科目の実習は患者に対する実技を原則とし、1行為につき5例又は10例程度必要です。

■評価(試験)
指導者立会いの下、自施設で行います。
[共通科目]
全ての科目において筆記試験を行うとともに、実習を行う科目(臨床推論、フィジカルアセスメント、 医療安全学/特定行為実践)については評価表を用いた観察評価を行います。
[区分別科目]
全ての科目において筆記試験及び評価表を用いた観察評価を行うとともに、一部の科目については実技試験(OSCE)を行います。

■OSCE(オスキー)
客観的臨床能力試験と訳され、受講生が臨床実習を開始する前に技能や態度等について客観的に評価するための試験のことをいいます。 OSCEでは模型やシミュレーターを用いて受講生の実技やその態度について、受講生の所属する施設等(自施設)で行います。 評価は自施設の指導医およびOSCE外部評価者が行います。

特定行為とは

特定行為とは、医師の包括的指示の下に行われる診療の補助であり、看護師が「手順書」により行う場合には、実践的な理解力、 思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定められるものをいいます。

※法で定められている特定行為の詳細については、
厚生労働省WEBサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.html)をご確認ください。

※「手順書」は医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるために、その指示として作成する文書であって、 「看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲」、「診療の補助の内容」等が定められているもののことをいいます。