安全への取組み

スミスメディカル・ジャパン株式会社  「レベル1 システム1000」「レベル1システム加温チューブ」使用について

【2021年9月22日】
公益社団法人日本麻酔科学会
安全委員会

<製品名>
製品名:「レベル1 システム1000」、「レベル1システム加温チューブ」

<事象>
FDAより小児患者(特に新生児および乳児)、高齢者、腎機能の低下または透析中の患者、妊婦等のリスクの高い人々に対するアルミニウム暴露に対する保護レベルとして、25 µg/Lを超えないことが望ましいとの助言が提供された。
スミスメディカルが行った研究では、生理食塩水と血液の場合検出されたアルミニウムのレベルがこの制限を超えていなかったのに対し、電解質溶液(乳酸リンゲル溶液)においてはこの制限を超えていることが示された。
この研究結果に基づき、製品を安全にご使用頂くための使用条件に関する情報提供を行う。

<原因>
FDA(アメリカ食品医薬品局)の規制では、TPN(中心静脈栄養)療法で使用されるすべての非経口輸液のアルミニウム濃度が、1リットルあたり25マイクログラム(μg/ L)に制限されている。「システム1000用加温チューブ」の熱交換部の内管はアルミニウムを原材料としているが、本機器は通常、短期間での大量注入に使用するため、慢性的な完全非経口栄養注入に適用されるアルミニウムの注入レベルを超える可能性はほとんどない。
しかし、FDAより小児患者(特に新生児および乳児)、高齢者、腎機能の低下または透析中の患者、妊婦等のリスクの高い人々に対するアルミニウム暴露に対する保護レベルとして、25 µg/Lを超えないことが望ましいとの助言が提供された。スミスメディカルが行った研究では、生理食塩水と血液の場合検出されたアルミニウムのレベルがこの制限を超えていなかったのに対し、電解質溶液(乳酸リンゲル溶液)においてはこの制限を超えていることが示された。この研究結果に基づき、製品を安全にご使用頂くための使用条件に関する情報提供を行う。

<対応>
該当製品をご使用するにあたっては、アルミニウム暴露のリスクを低減するため以下の内容に注意して使用すること。
警告:製品を特定条件下で使用すると、有害なレベルのアルミニウムに晒されるおそれがある。

・以下に示す患者においては、ベネフィットとリスクを考慮して本機器の使用を検討する。
小児患者(特に新生児および乳児)、高齢者、腎機能が低下している患者、または透析中の患者は、腎臓が十分に機能せず、アルミニウムが体内に蓄積するリスクが高くなる。また妊婦においてもアルミニウムが体循環に蓄積し、胎児に影響を与える可能性があるためリスクが高くなる。
・30mL/min 以下の流量で、電解質溶液の投与を長時間行うと、アルミニウムの浸出が増える可能性がある。
・スミスメディカルの研究では、生理食塩水を輸液として使用した場合のアルミニウム浸出量は非常に低いレベルであることを確認している。臨床的に可能な場合は、電解質溶液(乳酸リンゲル溶液等)の代わりに、生理食塩水を使用することを推奨。

代替製品:
これらの製品は通常、外傷、分娩後出血、移植などの臨床状況で大量の加温された輸液や血液が投与される急性の状況で使用される。比較的遅い流量で継続的な治療を必要とする患者の場合は、輸液流路にアルミニウムを含まない機器、弊社販売名「レベル1ホットライン」を代替製品として使用できる。

詳細は報告書をご確認ください。


《スミスメディカル・ジャパン株式会社》(2021年9月)